富裕層が弱者に優しい理由

富裕層が弱者に優しいということについて私に異論はない。

 

だが、なぜ彼らが優しいのかという所で、育ちの良さだとするのは、なんというか差別的であると思うし、全く彼らを理解していないというか、理解する気がないのだなと思う。

 

富裕層が弱者に優しいのは、彼らがそれ以外弱者に与える事を許されないからである。

 

聡明な富裕層ならば誰だって気づいているはずだ。

 

 

恵まれた側が何を言っても嫌味になってしまったり、そうは言ってもお前は恵まれているじゃないかという嫉みに変わる事を。

 

彼らは幼い頃から知っているのだ。

 

先天的な富裕層が謙虚で優しいのは、彼らがそれ以外を許されないからである。

 

何を言っても嘘になってしまうのだから。

嫌味ったらしい人間になるしかなくなってしまうからだ。

 

彼らは生まれた時から持っている。能力も権力も才能もお金も。

 

 だから、貧しい人間の気持ちを立場を想像するしかない。

 

貧しい人間に何を言われてもグッと耐えるしかない。あんた方に私らの気持ちがわかるのか?或いはわかってたまるかと言われれば、わからないと言うしかない。実際に彼らと同じようにはならないのだから。わかるはずが、ないのだから。体験しようがないのだから。

 

聡明でない富裕層の人間はそれ以外の行動に走るが。それを愚行という。

 

それは丁度日本人が他国の人間に、自分の国で評価されないのならば他の国に行ってみたら?自分探しの旅に出るのもオススメ★

と言うようなもので、

 

いやいやいやいやお前、日本ほどビザが簡単に下りる国はないし、そもそも日々サバイブしなくて良いからそんなアホアホな発想に至るわけで…。

 

と、嫌味にしかならないと、相手の立場を慮ることの出来る人間ならば気がつくはずなのである。

 

恵まれた人間の、恵まれない言論統制があると言う矛盾に。

 

そりゃあ、弱者に優しくするだろうよ。恵まれた人間と言うのは、それ以外に許されないのだから。

 

優しくした所で仇で返される事もあるだろうが、それでもまだ、恨まれるリスクは減るのだから。

 

育ちが良いから優しいのではない。優しさと謙虚さしか彼らは許されないから、優しくて謙虚なのである。

 

シンデレラはガラスの靴を持つ事を許されるのに、白雪姫の母親は継子を可愛がる事を許されない。毒林檎を持つことしか許されない。

 

一寸法師は打ち出の小槌を手に入れるのに、かぐや姫を求めた貴族も陛下も彼女を手に入れる事が許されない。彼女の求める宝物すら手にできない。

 

恵まれた人間の不自由に、私たちは暗い快哉を叫んだり、ちょっとくらい嫌な思いをして当然だなんて仄暗い思いを抱いていないと言えるのだろうか。

 

だから彼らは優しくするのだ。

 

叩き上げが努力せよと言う事と、富裕層が弱者に優しいのは全く別問題に近いのではないだろうか、と私は考えている。

 

同列に扱う人間は、多分彼ら富裕層と密な付き合いをした事がないか、とんでもない努力論しか語らない人間しか知らないのだろう、と私は思う。

 

まあ、金持ちは金持ちで、権力者は権力者で大変なんだよなあと言うだけの話である。

 

為すべき事を腹を括ってなして行くってただそれだけの事。

 

やりたくないならばやらずで結構。

私は何にも困らない。

 

 

ただそれだけの事である。