生前人生選択考
生前に今世で体験したい事を決めて生まれてきたのだよと言う思想がある。
私自身それが真実であるのか否かわからないので、真偽のほどはさておき、
他責論ここに極まれり。と思う。
要は今の人生なにもかもうまくいかないのは自分のせいではなく、生まれる前の自分が決めてきたんだ!と言う思想であり、
確かにそれで救われる人もいるかもしれないが、今ある環境の中でベストを尽くす阻害要因にもなりかねない思想だと思う。
また、自分自身が病で苦しんでいたり、重い障害で苦しんでいるのならばさておき、それを健康な赤の他人がいうのはどうなんだろうかと眉根を寄せてしまう。
自己責任論を持ち出して良いのはやはり、自己責任の範囲の中だけだと思う。
私自身が入院している時に他人からこれを語られたら、相当頭にくるだろう。
健康な体で、どこにだっていけて、
明日の朝が来ないかもしれないと怯えて眠りにつく事ができなくて、
自分の体が思い通りにならない苦しさを抱えながらも、肉体の苦しみからは逃れる事が出来なくて、
この世のどこにも逃げ場が無い人間に、
自分で決めてきたんだよ★とはよく言うものだ、許しがたい妄言だ、と思う事だろう。
多分、本当に頭が悪いか、他者の感情に無頓着な人間しか語らない論理だと思う。
当たり前に幸せな人生を与えられているにもかかわらず、器以上の何物かになりたがる阿呆の語る話だと思う。
生前の自己に責任があろうとなかろうと、どのみちサバイブするしかないのだから、
ああ生前に決めていた事だったのね、と腑に落ちた所でどうしようも無かろうと言うしかない。
どうしようもないのだから、どうにかしなければならない。
生まれくる前のことを忘れているのは、ひょっとしたら、3年前に食べた朝食の内容と同じくらいどうでも良い事だからかも知れないではないか。
生前の人生選択にあれこれ思い悩むくらいならば、今日為すべき事を淡々と、と私は思う。